子育て中、赤ちゃん抱っこで腱鞘炎。本当の原因はどこに隠れているのか?

※記事の最後にお父さん向けのメッセージがあります。
ぜひ読んでもらってください。



新生児期が終わり少しずつ乳児の体重が増えてくる時期に
手首の内側に痛みを感じるお母さんがとても多くいます。

産後によくある赤ちゃんの抱っこによる腱鞘炎です。
新生児や乳児のお世話をして出てくるものなので
この記事では「子育て腱鞘炎」と呼ばせて頂きます。

パソコンによる腱鞘炎などもありますが
これは痛める場所が反対側である場合がほとんどです。

今回取り上げる腱鞘炎は痛みが
手首の内側に出るものを想定しています。
対処法の違い親指の付け根や手首の外側の腱鞘炎では
対処法が変わりますのでくれぐれもご注意ください!


ではこの子育て腱鞘炎について
次の項目で解説していきたいと思います。

・子育て腱鞘炎になりやすい人
・痛みの本当の原因
・治療法・セルフケア
・予防について
・最後に少しお話

子育て腱鞘炎になりやすい人

腱鞘炎になりやすい人の特徴としては
・筋力が低い
・手首に負荷をかけ過ぎている
・手首の使いすぎ
などがありますがこれらとは別に
圧倒的に腱鞘炎なりやすい人たちがいます。

それは育児が初めての人たちです。

子育てでの腱鞘炎は女性がなるものと
思っている方がいらっしゃいますが
実際にはお父さんでも腱鞘炎になります。

なぜ初産のお父さんお母さんに多いのかと言いますと
考えられる原因としては次のようなものがあります。
・赤ちゃんを抱くこと自体に慣れていないため
 必要以上に力を入っていしまう

・何をするのも赤ちゃん最優先なので、
 無理な姿勢での抱っこになりやすい

・落としたらどうしようという恐怖感から
 自然と力が入ってしまう
二人目のお子さんの時になりにくい理由としては
慣れに加えて一人目の子育てで、腕周りが勝手に鍛えられる
という事が考えられるかもしれませんね。


ちなみにここまで書いた内容は
実は腱鞘炎の原因ではなく、なりやすい環境です。
同じことをしていてもなる人とならない人がいるのは
手首の強さ、もっと言えば腱の強さとも言えます。

次の項目からは腱鞘炎の本当の原因についてお話していきます。


痛みの本当の原因

まずは痛みが出る原因について考えていきましょう。
ネットで検索すると腱鞘炎に関する情報は
本当にたくさん出てきます。

多くのサイトでは
手首の負担が大きいことが原因と書かれていますね。
同じようなことを書いても仕方ないので
今回の記事ではもう少し深く、関節の構造のお話をします。

具体的にいうと、腱鞘炎が起こるときに
負担がかかり過ぎているのは、どの筋肉とどの靭帯なのか?
というお話です。

子育て腱鞘炎に関係してくる筋肉は
主に手首を曲げる時に使われるもので
次のような筋肉があります。

手首の屈筋群
・長掌筋
・深指屈筋
・浅指屈筋
・長母指外転筋
・長母指屈筋
筋肉の名前を見て頂くとなんとなく分かると思いますが
手首を曲げる筋肉はほとんどが指先につながっています

実は腱鞘炎になる本当の原因というのは
手首を曲げる筋肉が指に繋がっている
ここに隠れているんです!


では早速その動きを見ていきましょう。
多くの手首の屈曲筋は肘の周辺から始まり
最終的に指に繋がります。
(写真では2本だけ繋いでます)指先につく赤い紐が筋肉や腱・スジだと思ってください

そして筋肉が収縮し手首が曲がると
本来は次の写真のようになります。腱が出る?でも実際に手首を曲げた時には
こんなに筋肉は飛び出ていませんよね?

なぜそうなるかというと手首に
屈筋群を抑えつけるための靭帯
屈筋支帯(手根横靭帯)があるからです。屈筋支帯

これによってスジが外に飛び出さずに
手首を曲げることができます。抑えられる

では実際に曲げ伸ばしをするとどうなるのか?

屈筋群のスジと屈筋支帯が擦れます

普段の生活でも手首の曲げ伸ばしにより
手首のスジは擦れていますが
痛みが出るほど擦れることはありません。

しかし子育て中は話が違います。

必要以上に力が入っているときは
手首のスジへの負担が大きくなり
手首を使う回数がものすごく増えるため

お父さんお母さんの手首のスジは
何度も何度もスリスリされてしまいます。腱鞘炎の本当の原因

つまり子育て腱鞘炎の本当の原因を考えるなら。
単に「使い過ぎだから」ではなく
子育てで手首を使う事が増え
手首のスジが擦れて限界がくる


ここまで考えなければいけません。
そして本当の原因が分かって初めて
治療や予防ができるのです。

治療法・セルフケア

治療やセルフケアに関してですが
痛みが出ているという事は
すでに手首のスジが擦れ過ぎている状態なので
できる治療や効果はかなり限られています。

そのため本当に知らなければいけないのは
治療法よりも予防法だという事を覚えておいてください。


症状が軽くなる可能性として期待できるのは
手首の屈筋群のセルフマッサージです。

それでは注意点とマッサージ方法を写真で解説していきます。

肘から手首の3分の2くらいまでをマッサージします。
3分の2より先の部分はほとんど腱になりますので
マッサージをしてもあまり効果はありません。

手首の痛い部分についても同様で
ここ自体を揉んでもあまり効果はなく
むしろ痛みが増すこともあるので避けておきましょう。痛いところはマッサージ禁止

イスに座った状態で腕をテーブルやベッドの上に置きます。
可能であれば膝の上でも構いません。
マッサージ上から
反対の肘の外側の面で
屈筋群をゆっくり体重をかけながらマッサージします。マッサージ横から
マッサージは真下に押すだけで構いませんが
ベビーオイルなどを使えば滑らせるように
揉んで疲れを流すこともできます。

ストレッチについてですが
痛みの原因が筋肉の固さによるものではないので
痛みを我慢して伸ばしたとしても
大きな効果は得られないと考えられます。


腱鞘炎で最も大事なことは
これ以上擦れを増やさないということです。
次の予防の項目をしっかり読んで実践してください。

予防について

ではやっと今日の記事の本題に入ります。
予防法ですが「左右バランスよく使う」これはもうやっていますよね?
とにかく手首のスジへの負担を減らすことが最優先です。

まず今より悪化させないという事を考えると
「手首を使わず安静にする」これが理想です。

ただ子育てをしているお父さんお母さんが
安静にするというのは、まず無理でしょう。
私も現在子育て中なので、絶対無理だと思います。


そこで手首に対する負担を減らす方法を紹介します。
手首の負担を減らすというのは
スジのスリスリを減らすという事です。

原因の項目の写真を見れば分かるように
手首が曲がらなければスリスリは起きません!
非常に簡単。単純明快です。

という事で次のことを試しましょう。
・抱き方その1
・抱き方その2
・テーピング固定
・なるべく道具使う

まずは悪い例です。
悪い赤ちゃんの抱き方
指に力が入り手首が曲がっているため
手首のスジが擦れてしまっています。

◆抱き方その1
手のひらを横か下に向ける
手のひらが上を向いていると
自然と指の屈筋群が動員されてしまいます。

手のひらが横か下を向いていると
屈筋群には力が入らないため
スジがスリスリされません。
抱き方1
◆抱き方その2
手をグーにして抱く
なぜこれが良いのかというと
手をグーにすると自然と手首は
真っ直ぐになるからです。
抱き方2
皆さんも今試してみてください。
手首を軽く曲げた状態から手をグーにしてみましょう
すると自然に手首は元に戻ろうとします。
自然に伸びる
手首が曲がらなければ
手首のスジはスリスリされません。

◆サポーターやテーピング
手首の動きを制限します。
「手首が曲がらないようにする」これが基本です。

固定用のホワイトテープを手首に巻きます。
こちらはドラッグストアで数百円で購入できます。
腱鞘炎テーピング手首の周りを軽く巻くだけで効果はあります。
引っ張るように強く巻きすぎたり
巻いたまま2時間以上過ごすことがないようにしてください。

◆なるべく道具使う
抱っこ紐
バウンサー
授乳クッション
これらはめんどくさがらずに
必ず使うようにしましょう。


今回紹介した方法を実践すれば
体の近くで抱く、腕全体で抱くといった事が
意識しなくてもできるようになり
抱っこの仕方が自然と上手くなっていきます。

最後に少しお話

育児を頑張りすぎてしまうお母さんがたくさんいます。

肉体的にも精神的にも負担が重なり
何でもないことでイライラしてしまったり
体調を崩したりすることもあるでしょう。

でも育児はあなた一人の仕事ではありません
もっとまわりの人に頼っていきましょう。

お父さんは手伝いたくないのでなく
何をするべきか、どうすればいいのかが分からないだけです。
やり方を教えて、次に何をして欲しいかを頼みましょう。


お父さんへ
お母さんは育児や家事に必死です。
あなたが寝ている間にも何度も起きて
授乳をしたりオムツを替えたりしてくれています。

「子どもはほっといても勝手に育つ」とか言うお父さんもいますが
そんなわけないでしょう!
実際にはお母さんが頑張ってくれているのです。

少しの間、抱っこを交代するだけでも
お母さんの手首の負担は軽減されます。
可能な限り子育てに参加していきましょう。

長い記事を読んでいただきありがとうございました。
それでは最後に一言
子どもを抱っこできる期間なんてほんの数年ですよ!子育ては一瞬